2003-02-21から1日間の記事一覧

8.「九日、菊の綿を」

この段は、なかなか意味深である。重陽の節供の当日、道長の奥様が紫式部に「菊の綿(菊の花に綿をのせたもの)」を贈る。紫式部は返礼の歌を用意しておいたのに、奥様がさっさと帰っていったので、渡せなかった、という。<解説>には、「菊の綿を贈るのは…

7.「廿六日、御薫物あはせはてて」

さて、この段に、駒尺喜美が『紫式部のメッセージ』朝日選書ISBN:4022595221、紫式部は同性愛者とする根拠の一つとしている一文が登場する。昼寝をしている同僚女房(宰相の君)の顔がいかに美しいかを書きつづっているのだ。「いとらうたげになまめかし」、…

6.「八月廿余日ほどよりは」

彰子の出産が近づく。スタッフは当直が多くなり、お世話係として雇われる人たちが集まってくる。そんな中、「みなうたた寝をしつつ、はかなうあそび明かす」。まだ緊迫感は感じられない。それでも表だった管弦の催しは道長が差し止めていたという。彰子の体…

5.「播磨の守、碁の負わざしける日」

なんの関係もないこの章節がなぜこの位置にあるのか、確かに不思議だ。朴おじさんは、紫式部は、ここに登場する藤原有国一家を羨望のまなざしで見ていた、という。この後も、有国の奥さんや息子さんなどが、「御乳付」や「書よむ博士」などの大役を仰せつか…