3.「渡殿の戸口の局に見いだせば」

早朝。遣水の手入れを家来にさせる道長、それを戸口から見ている紫式部道長は女郎花を手折って紫式部に見せる。そして歌のやりとり。「『あな、疾(と)。』とほほゑみて、硯召し出づ。」 道長の微笑は、政治家の仮面をはずした穏やかなものだったんだろうな。朝霧のなかに浮かびあがる二人の姿。風情がある。