2003-02-20から1日間の記事一覧

4.「しめやかなる夕暮れに」

中宮彰子、道長に続き、いよいよ道長の長男、頼通が登場。その姿を紫式部は、「いとおとなしく、心にくきさまして」と形容する。若いのに(この時17歳)、背伸びした会話を交わし、洒落た歌を口ずさみながらその場を去る。ほほぉ、なかなかやりおるのぉ。こ…

3.「渡殿の戸口の局に見いだせば」

早朝。遣水の手入れを家来にさせる道長、それを戸口から見ている紫式部。道長は女郎花を手折って紫式部に見せる。そして歌のやりとり。「『あな、疾(と)。』とほほゑみて、硯召し出づ。」 道長の微笑は、政治家の仮面をはずした穏やかなものだったんだろう…

1.「秋のけはひ入りたつままに」

「土御門殿の有様、いはむかたなくをかし」と続く、『紫式部日記』の有名な書き出しである。土御門邸の秋の風情を記したあと、すぐに中宮彰子の話題に。この方に仕えると「現し心(憂き世のこと)をばひきたがへ」(ふだんの沈み込んだ気持ちとはうってかわ…

せっかくなので、最初からきちんと書いていこう。

読んでいくのは、講談社学術文庫『紫式部日記』上ISBN:4061595539、下ISBN:4061595547(全注訳、宮崎荘平)。書き出しに付す番号は、この本の章節分けにしたがったもの。