職場に、一人、困ったちゃんがいる。いつも身勝手な行動をして、周りをてんてこ舞いさせている人だ。今回のトラブルはそのAさんが突然ある学会(海外)に参加すると表明したことから始まる。

その学会は、誰も知らない、申し込みさえすれば全員口頭発表できるようなまったくのマイナーなものだ。Aさんはその学会に誰にも相談せず演題を提出し、acceptされました、学会に行きます、出張の手続きをお願いします、と何の前触れもなく申し出たのだ。出発は10日ほど先。唐突な申し出に、教室員一同目を白黒させたのは言うまでもない。そして、今日、ボスから、業務としての出張扱いにはできない、自費で行きなさいと言い渡されたら、なんと、さっさと参加を取りやめてしまったのだ。出発日が迫っているから手続きを早くと、事務部からせっつかれて進めつつあった、私事渡航の手続きは全部無駄になってしまった。それはまだいい。許せないのは、費用が出ないとわかるとさっさと参加を取りやめてしまう、その気持ちだ。本当に自分の研究をその学会で発表したかったのなら、自費だって、どんな万難を排したって、参加すべきだ。研究にはそういう情熱が必要だと思う。なのに、費用が出ないとわかると、さっさと参加を取りやめるなんて、海外旅行気分で演題提出をしたと思われても仕方がないだろう。

そもそも、自分の研究を高めるためには、どういう学会に参加したらいいのか、どういう研究内容を発表するればいいのか、指導教官のアドバイスに耳を傾けるべきだ。実務面では、自分の身分でどの程度まで出張が認められるのか、休暇は認められるのか、普段のdutyは誰が代行するのか、そのあたりのことも周りの人とよく相談すべきだろう。そういう相談も質問もなく、突然行くと言われても、ボスにしてみれば管理者としての立場上、はいそうですかと簡単に認めるわけにいかないし、手続きだって組織内の決められた手順に従わなければならないのだから、自分一人の判断だけで行動できないことは、火を見るより明らかだ。そのあたりのことがどうしてわからないのか、まったく不思議だ。社会経験のない人ならまだ教え諭すこともできるが、大の大人に今更社会常識を教育するのもおかしな話だ。いやこれは、それ以前の個人の資質の問題かももしれない。

というわけで、困ったちゃんは職場に一人いれば十分だと、つくづく思た次第。