25.「小少将の君の、文おこせたる」

紫式部とたいへん仲の良かった同僚女房との歌のやりとりが記される。えーっと、私はこの段が苦手でして・・・正直なところ書きにくいのです。要するに、最初、自宅にいる小少将から手紙が届く。その返事に式部は歌を書く。でも、この歌は「腰折れ拙い歌」とのことで、実際にはどんな歌だったか式部は書き残していない。おそらく前節の「思ひかけたりし心」についての歌なのだろう。暗くなった頃、小少将から再び返事が来る。

雲間なくながむる空もかきくらしいかにしのぶる時雨なるらむ
これは、「実はこの雨はあなたを恋い慕って流す私の涙なのです」=「あなたがどんなに苦しいか悲しいかよくわかるわ」という意味が込められているらしい。再びの式部から小少将への歌。
ことわりの時雨の空は雲間あれどながむる袖ぞかわくまもなき
「あなたを慕って涙する私の袖は、乾くひまもありません」=「私の気持ちを察してくださってうれしいわ」という意味になるらしい。

歌の意味を解するだけでも一苦労なのに、そこに込められたメッセージを感じ取れるようになるまでには、まだまだ修行が必要のようです。

自分の気持ちを理解してくれる友人の存在はやっぱりうれしいよね。小少将も宮中での生活にどっぷりとひたりきれなかった女房の一人なのだろうな。ちなみに、小少将は道長の愛人の一人なんだって。