14.「例の、渡殿より見やれば」

大勢の公卿が集まっている。そこへ道長登場。家来に命じて遣水の手入れをさせる。彰子出産の忙しさで手が回らず、落ち葉などがたまっているのだ。それにしても、道長、じっとしていないなあー。こんなところからも、何事にも精力的な道長をイメージしてしまう。公卿たちの表情はみな「心地よげなりいかにも満足げな様子である」。宮の大夫は、藤原斉信(ただのぶ)。あれほど清少納言と仲良くしてたのに・・・ちゃっかり大役に就いているのね(と、憎まれ口も書きたくなるよ)。藤原隆家(道隆の息子で故皇后定子の弟)の姿も描かれる。清少納言びいきにとっては、少々複雑な心地する段である。紫式部は、「心のうちに思ふことあらむ人も心の中に何か心配事があるような人でも」、この時ばかりはうれしさで憂さを忘れそうな雰囲気だという。式部自身も、「心のうちに思ふことあらむ人」の一人。