13.「午の時に、空晴れて」

「午の時に、空晴れて朝日さし出でたる心地す正午頃にご誕生が実現し」彰子の赤ちゃんが生まれたのは、お昼頃。この日は朝からよい天気だったらしい。昼に朝日とはこれいかに!? でも、なんと喜ばしい表現であろうか! 彰子は「たひらかにおわします」(母子ともに健康!ってことやね。よかったよかった)、しかも、「男にさへおはしましけるよろこび」(敦成親王、のちの後一条天皇)なのである。道長は、「でかしたぞ、彰子!」と叫びたい気持ちだったろう。女房たちは自室に引き揚げ休息に入る。倫子は僧や医者、陰陽師などに褒美を渡す。御湯殿の儀式の準備も始まる。女房たちはこれから続くお祝い行事の装束などをひそかに準備し始める。無事出産が終わった安堵の空気の中、ほんの一瞬の静けさである。