希望行きのバス

帰りのバス。全員降りて、一人になった。

それでも律儀に「次は○○です。○○においでになるにはここが便利です」とアナウンスが流れる。

誰も待っていないバス停にいちいち停車し、乗降口のドアが開く。息継ぎするようにしばらく停まって、誰も乗ってこないのをあらためて確認すると、しかたかないやと言わんばかりにゆっくりと発車する。

次のアナウンスが流れる。音量がやけに大きい。車窓に目をやる。あたりはすでに真っ暗だ。

ふと思い出す。あさっては冬至だ。一年で一番昼間の短い日。でも冬至をすぎたら日一日と日が延びる。そう思うと、希望に向かって走っているような気持ちになった。