『暮しの手帖』

暮しの手帖 300号 記念特別号』を買った。

暮しの手帖』は、母の愛読書だった。ほとんど雑誌というものを買わなかった母が、この本だけは買い求め、大切に読んでいた。

そのせいか、中学生の頃から、「すてきなあなたへ」や「家庭学校」を楽しんで読んだ。高校生の頃は「すばらしき日曜日」に投稿しようと作文を書いたことがある。結婚してからは、「商品テスト」、「エプロンメモ」などをよく読むようになった。料理のコーナーは、あまり参考にできなかったが、「よしなしごと」にメモしている「今夜のメニュウ」という名は、この雑誌から拝借した。振り返ってみると、この雑誌とは長いつきあいなのだ。これまで意識したことはなかったが、この雑誌には私なりの思い入れがあることに気づいた。

暮しの手帖』にまつわる最初の記憶は、幼稚園の頃である。火事の記事だったか、ごうごうと燃えさかる炎の写真がいっぱい載っていた。炎は不思議な力を持っている。その炎になぜか惹かれた。見るのは恐い、のに、なぜか見たくてしょうがなかった。恐いくせに、何度もちらちらと見た。思えばあれが、「恐いもの見たさ」のはじめだったのだろう。

ふと巻末を見ると、年表が載っている。1966年に、「火事のテスト」という特集を組んでいる。幼かった私はきっとこの記事を見たのだろう。とても懐かしいものに再会したような気がした。