方向の違い

夫も私もゆずを大切に思う気持ちは同じだ。なのに、その思いの方向が違うのは面白いなあと思う。

夫は、ゆずの足をなんとか矯正したいらしい。普通の鳥と同じとまではいかなくとも、鳥らしく止まり木の上で生活させたいのだ。

同じような症状のセキセイインコを育てている人のホームページを読んだり、矯正グッズを試作したり。とにかく少しでも状況を「良く」したいらしい。頭の中で常に、ああしてみたらどうか、次はこうしてみよう、と考えているようだ。

一方私は、「今の状況で、ゆずが心地よく過ごすにはどうしたらいいか」を考えていることが多い。だから夫が珍妙な矯正グッズを考え出したり、次のステップを考えたりしているのを聞くと、なんだかかわいそうに思ってしまう。ゆずに余計なストレスを与えるんじゃないかと心配になるのだ。

自立できないと困るのはゆずなんだよ、と夫は言う。それはもちろん同感なのだが。

こういうときに、「まあまあ、じゃあ、こうしたら?」といって上手く妥協案を導き出してくれるのが娘なのである。親のことをよく見ているというか、中立というか、助けられている、というか。家族の役割が上手くできているなあ、と思ったりする瞬間ではある。