20.「またの夜、月いとおもしろく」

翌日の夜は、月がたいそう美しかったそうだ。この夜は庭の遣水で舟遊びですよ、奥様! なんとも優雅だ。天皇付きの女房たちが内裏からお祝いにやってくる。舟に乗っていた女房たちは、あたふたと家の中へ入っていく。そこへ、道長登場! 「おぼすことなき御気色に、もてはやしたはぶれたまふ何の屈託もないご機嫌ぶりで、歓待したり冗談をおっしゃったりなさる。」 道長の満足しきった表情が目に浮かぶようだ。翌日は朝廷主催の御産養が控えているから、つかの間の息抜きとはいえ、なんと豪勢なこと。きっと、ここ数日忙しい思いをさせた女房たちへのサービスなんだろうな。