今朝もひどく冷え込んだけれども、雪も積もってないし、ふだんと変わりないので、いつものルートで通勤。ところが、環状線を北に降りたところで風景が一変、あたり一面真っ白じゃん! 道路、凍ってるよ! みなそろそろ走ってるよ! というわけで、この職場に通勤して7年目にして初めて、車で出てきたことを後悔したのでした。ほんとを言うと、これしきの雪でそろそろ走るというのは屈辱以外のなにものでもありません。ああ、パジェロ…君がそばにいてくれたら、こんな気持ちにならなかったのに。手放すんじゃなかった。今でも未練たらたらです。

この寒さで思い出したのは、去年の今頃、娘が他県の私立高校を受験した日のこと。その日もとにかく底冷えのする日で。まだ薄暗い駅のホームで娘と二人電車を待っている時、吹き付けた風の冷たかったこと。娘はがちがちに緊張していて、同じ高校を受験すると思しき中学生を目敏く見つけ、その子が参考書を開いているのを見て打ちひしがれ、受験校へ向かう臨時バスに乗り込むライバル達にちらと目をやった後、皆が自分より優秀そうに見えると弱々しくつぶやいた。右手と右足が同時に出てそうなぎこちない歩き方で校門に着いた時、出迎えてくれたのは娘が通っていた塾の担当の先生だった。地元の有名塾の大勢の講師たちに混じって一人でぽつりと立っていたけれど、その先生がどれだけ頼もしく見えたことか。そして、先生に元気づけてもらい、娘が心から安心したような表情を見せたのは、実にうれしいことであった。受験生達は集合場所である講堂に吸い込まれるように入っていく。踏ん切りのつかない娘は、なかなかそこへ向かおうとしなかった。抜けるような青空に浮かんだ雲が強い風に流されていくのを二人で眺めた。一瞬だったような気もするし、ずいぶん長く眺めていたような気もする。

結局娘はこの高校には合格することはできなかった。その事実は大きなトラウマとなってその後の受験に重くのしかかった。けれどあの朝、駅のホームで肌の切れるような寒さに耐えた、その事は大きな糧となってあなたに残ったと、お母さんは信じているよ。