7時半、起床。娘の土曜講習のため。平日より1時間半も寝坊ができた。目が覚めたのは7時頃。寝床でファインマンさんの本の残りを読み終えた。

困ります、ファインマンさん (岩波現代文庫)後半で一番印象に残ったのは、現場の技術者の声を聞け!ということだ。技術者たちが、たくさんの危機感を抱いているのに、管理屋さん(お偉方)となると「エンジンの失敗の確率は10万回に1回」なんて言い放っていたのだ。大きなプロジェクトとなると、一部を改善しようと思っても、全体の仕様から変更しなければならず、それには莫大な費用がかかるため、現場の提案がなかなか採用されない。シャトルの設計が、小さな部分の集結ではなく、全体の構造が先にあって、そこから小さな部分か順々に決められていっているため、簡単に小さな部分の変更ができない仕組みなのだ。このあたりの話は以前川合先生のナノテクノロジーの本で読んだことがあった(トップダウンボトムアップ)ので、たいへん興味深かった。

結局、先日起きた原発の事故も、現場の技術者や点検を請け負っていた会社のスタッフは、どういう危険が潜んでいたのか、きっと把握しきっていたことだろう。なにしろ、一番そばで面倒を見ていたのだから。原発のお偉方が、安全対策を二重にも三重にも立ててあるから、原発で事故は絶対に起こらない、なんて胸を張って主張しても、そう易々と信じてはならないと思った。

『困ります、ファインマンさん』 岩波現代文庫 R.P.ファインマン大貫昌子・訳 ASIN:4006030290