そのニュースを知ったのは、いつもお昼を皆で食べている部屋でだった。何気なくテレビを付けると、あり得ない場所であり得ない形になった電車が映し出された。午後、仕事で附属病院へ行くと、救急の窓口に赤いランプが反射しているのが見えた。普段あまり救急を受け入れていないので、あるいは、と思ったけれど、兵庫県内の病院から転送されてきたのであろう、やはり被害にあわれたかたであったようだ。仕事をしていてもこの事故のことが気になり、なんとも心許なく、ここでは普段通りの時間が流れていることがとても不思議に思えた。

帰りの車の中で、ラジオのニュースを聞く。通学でこの電車におそらく乗っており、大学にも行っていない、携帯もつながらない、と、子どもさんを一生懸命捜しておられる親御さんのことが報じられた。帰宅してから見たテレビでは、ご主人を必至で捜しておられる奥さんが映し出された。どうしてこんなことが起きてしまったのか、通勤、通学、あるいはなんらかの目的で外出していた人々の日常があっという間に暗転してしまったのだ。いまも体がぞくぞくと震え、足にも手にも力が入らないでいる。