tsun2005-03-30

診療科の受付をしてくださっていたAさんが退職するので、花束を用意した。ご本人は送別会なども固辞されているので、就業時間終了間際に皆で集まってから渡そうということになったのだ。本人に見つからないようにとのまとめ役の先生の希望で、相棒M嬢と忍者のようにこっそりと隣の病院へ行く。なんせ受付にご本人がいらっしゃるので、そこを突破して診療科の中心にあるスタッフの集まる部屋に花束を持ち込むのは至難の業なのである。受付の後ろにある小部屋にAさんが行かれたスキに小走りでスタッフエリアまで一気に進む。

スタッフエリアには受付に患者さんが来たことがわかるようにモニタがついている。皆の準備が整うまで何気なくそのモニタを眺めていると、Aさんが待合室に置いてある雑誌をきれいに揃えたり、スタッフがてんでに脱ぎ捨てた靴をきれいに並べたりしている様子が映し出された*1。なんだか胸が熱くなった。

スタッフが揃ったので、まとめ役の先生がAさんを呼びに行く。Aさんは、???という表情でやってきたけれど、皆が揃って待っている様子、そして花束を見て、言葉を詰まらせた。ボスは花束を渡してねぎらいの言葉をかけた。皆が拍手した。

決して「やさしい」という感じのかたではなかった。患者さんにも、患者さんを連れてきた看護婦さんにも、困る振る舞いにはきっぱりと注意をしていた。よかれと思ってしたことを、冷たく拒絶されたこともある。若い女性のスタッフをきびしく指導していたという話も聞いていた。花束を渡すことに消極的な態度のヒトもいた。

でも、Aさんががここできっちりと仕事をしてくださったことは、皆が知っている。だから最後にこうやって花束を渡せてよかっと思う。

*1:そこには私たちの靴もてんでばらばらに散らばっていたはずである。